憲法問題学習会


2010/11/05
憲法学習会大盛会!!
8月24日(火)東神戸薬局3階会議室で開催された、九条の会.ひがしなだ主催の憲法問題学習会は、狭い会場にあふれんばかりの聴衆39名を集め大盛会でした。テーマは「参議院選挙・民主党大敗と改憲をめぐる情勢 〜国民投票法・憲法審査会はどうなる〜」で、講師は弁護士の羽柴修氏でした。
羽柴修氏の講演概要は次のようでした。


日米安保条約の危険な変化
60年に締結された現行安保条約は、専守防衛の立場に立っていましたが、94年から始まった安保再定義でその範囲がアジア・太平洋全域に広がり、97年の新ガイドライン導入、99年の周辺事態法(戦争法)、04年の有事法体制の整備によって、日米軍事同盟の体制は深化し、その範囲は世界へ広げられました。
このような「日米同盟の深化」によって、日本は解釈改憲により戦争の出来る国へ変わる危険が深まっています。


民主党政権の危うさ
民主党の菅首相は「日米同盟の深化」を明言し、広島原爆忌出席後の記者会見では核抑止力の必要性を強調しています。年末に策定される予定の民主党政権の「防衛計画の大綱」のたたき台としてこの8月に発表された「新安保懇」報告書では、従来の専守防衛を脱却して脅威対向型に舵を切るべきだとして、集団的自衛権の行使を促し、武器輸出禁止三原則の見直しを提案しています。さらに、財界の要求に呼応して消費税増税を打ち出し、参議院選挙の比例定数削減を提案しています。

国民投票法の問題点
今年5月に施行された国民投票法には色々問題点があります。一番の問題は最低投票率の規定がないこと。これには「憲法審査会で本法施行までに最低投票率制度について検討を加えること」という付帯決議が着いていましたが、何等検討されることなく施行されました。投票率が低いと非常に少ない賛成票で憲法改正案が成立します。その他、テレビ・ラジオの有料広告(CM放送)について、投票日の前2週間だけ規制され、それ以前は金力による宣伝が自由、など多くの問題があります。

質疑応答
講演の後、「あれもこれも一括して賛否を問われると困るが?」、「独立国の日本の自衛隊が米軍に組み込まれているのか?」、「憲法を変えて軍隊を持って米軍を追い出すというのもありうるのではないか?」など、多くの質問や意見が出され、活発な討論が行われました。




学習会の感想文(敬称略)

兵頭晴喜 8.24学習会に参加して
会場いっぱいの参加者に熱気を感じました。講演で民主党政権がこと安保体制については自民党政権と変わらないだけでなく、より危険な方向へ行きかねない状況がよくわかりました。この間、海外派兵関連の法律が次々と作られましたが「海賊対処法」が恒久法となっていることは知りませんでした。
欠陥だらけの「改憲手続法」が施行されたことに注意を払っていかなければなりません。廃止も含めて付帯決議の具体化を許さない戦いが必要です。
21世紀は軍事力で事を解決する時代ではありません。憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われわれの安全と生存を保持しようと決意した」とあるように、軍事力に頼るのではない安全保障の思想を広げて行くことの必要性を強く感じました。

松本 公
私の感想は、9条をめぐる最新の情勢について、久しぶりに本格的なお話を聞き大変勉強になりました。また、「9条の会が一服状態である」との指摘を、参加者が真剣に受けとめる必要があると思いました。
私は、兵庫県国家公務員等退職者9条の会の役員をしております。11月に、その9条の会の総会を行う予定ですが、そこで行う予定の講演をどのような内容にしたら良いのか検討している最中でしたので、非常に参考になりました。
なお、弁護士9条の会の発行したリーフ「国民投票法の廃止を求める」をいただきましたが、内容も素晴らしいので、できれば、地域の「9条の会」の会員に配布してもらい、活用してもらってはどうかと思います。「国公9条の会」も財政的にこのようなリーフは作れないと思いますので・・・。


喜田 結
参議院選挙後の情勢で、改憲の動向が、特に比例定数削減問題などで一層強まることがよくわかりました。今年5月に施行された国民投票法(改憲手続き法)が、付帯決議として、「低投票率により憲法改正に疑問が生じないよう、施行前に憲法審査会で最低投票率制度について検討すること」としているにもかかわらず、なんら検討を加えずに施行されてしまいました。投票率が低いとごくわずかの人の賛成で憲法が改正されてしまします。多くの人と学習に、宣伝にと運動を広げないと、と強く思いました。どうしたら、運動を広げていけるか、皆さんと考えたいと思いました。

伊澤 節代
羽柴修弁護士の歯切れがよく、また、よく通る声のお陰で難しい軍事問題や国政の話を分かりやすく聞くことができました。独立国であるはずの今の日本の自衛隊は米軍の指揮下にあるなんて、本当にびっくりしました。九条がある故、自衛隊を軍隊とみなすことが出来ず、軍隊なき国の集団(自衛隊)の指揮は米軍がするということでしょうか。それだから、九条を変えて自衛隊を軍隊と認識し、位置づけをはっきりさせ自国の指揮下に置くことの必要性等も改憲の論争点になるのでしょう。
 いずれにしても、非戦・平和を掲げる九条が骨抜きにならぬよう、自衛隊は災害救助・基盤的防衛・PKO参加のみに限定する等、現実をしっかり見据えながら、九条を守る努力をしていかねば、と思いました。


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